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温暖化いろいろ(終了したブログのアーカイブ)

主にデータのバックアップ用に使います。元ブログは http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/stopglobalwarming/ でしたが終了しています。

続・DCFC燃料電池

 DCFCについて追加でまとめてみます。
 
ローレンスリバモア研究所:Carbon Conversion Fuel Cells
Turning Carbon Directly into Electricity

 ここでは詳しい原理紹介をしています。

固体ナノ微粒子(10~1000nm)サイズの炭素をCO2に変換。
効率は80%が期待できる(保有する炭の化学ポテンシャルの8割を電力に変換)。炭素の電気化学的酸化の際のエントロピー変化が少ないため、ほとんど発熱も起こらないため電力への変換効率が高い。
750℃~850℃で作動。
溶融炭酸塩はリチウム/カリウム/ナトリウム炭酸塩で、大気に触れても爆発するなどの危険性がない。
白金などの高価な触媒が不要。

 研究対象の変遷の時系列グラフ をみると、このDCFCの研究は98年頃から始まったようですが、石炭から電気化学的に直接エネルギーを取り出すこと自体は、十九世紀の燃料電池研究の当初から目標に掲げられていた夢だったそうです。
 第二世代、第三世代といわれた溶融炭酸塩や固体セラミックSOFCの燃料電池は、目指す効率が最大55%程度だったという点が、この70%超を目指しているDCFCと一番大きく違うようです。
 これまで燃料電池のエネルギー源と思われてきた水素からのエネルギー取り出しと原理的に効率が違う点があるようですね。
 但し、そのための炭素の微細構造の要件があるようで、バイオマスにしろなんにしろ、一旦は熱分解/水熱分解を加えて微細なナノ炭素構造にする必要があるため、これが一番の研究課題となるのでしょう。
このプロセスが入るため、炭素以外の不純物についてはすべて前処理で除去することになるのでしょう。
このプロセスのエネルギー収支がどのくらいか、が総合的な効率に効いて来るのでしょう。
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炭を喰らう溶融塩燃料電池の誕生

 これまで化石燃料系の発電側技術については全く触れてきませんでした。

ブログ「でくのぼうぷれす」さんの記事:ダイレクトカーボン燃料電池????
はしかし、重要な研究開発分野の紹介だと思いますので、ここでも紹介しておきます。

技術系の面白い話題が多いHotWiredより
炭素ベースの燃料電池技術を開発

DCFC(ダイレクトカーボン燃料電池)は、2003年頃からワークショップ なども開かれているようですね。
 DCFCと、従来からある溶融炭酸塩型燃料電池との概念の違いはいまいちはっきり書いてありませんでした。

 使う媒体は同じ各種炭酸塩の化合物で、炭素の化学エネルギーを電気に変えて取り出すというものです。
 最終的にCO2が生成されるのは変わらないのですが、発電効率が高い(70%などという数字が出ています)ことと、純度の高いCO2が取り出せるため、従来火力発電所の排気からCO2を回収・貯留(CCS)する際には必要とされていた分離工程が不必要な点がエネルギー消費の点で魅力的で、CCS技術との相性が良いシステムとなっていることなども実は溶融炭酸塩燃料電池と同じでしょう。
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炭素回収/貯留技術はいつから実用化するのか

 以前、IPCCのCCS報告書について紹介しました。
 オブザーバー誌日曜の英ブレア首相の声明でも、あるいは先週のトーマス・ヨハンソン氏の講演の中 でも、原発と並んで、炭素回収・貯留(CCS)技術を、使えるものはなんでも使おうというものの代表例として勧める主張をしていました。この二つは環境NGOからの反対の声が強いところです。

 先日大阪で開かれたニューアース2005にも出展していた、RITE(地球環境産業技術研究機構)が日本でのCCS研究開発の中心になっています。ここは1990年に経済産業大臣認可で作られた財団法人です。

 RITEのDNE21モデルでは実際には2050年以降になってからCCS大規模普及との想定シナリオですが、IPCCの試算における想定やEUの大多数の考えでは、2030年以前に大幅な普及をさせることを想定しています。この時期ということはつまり、中国やインドでの新設火力発電所へ適用することを想定しているかどうかの違いなのでしょう。

 この想定シナリオの中では、CCS技術を3種類に分けており、①廃ガス田への注入による石油/ガス増進回収(EOR)と、②地中帯水層への貯留、③そして海洋隔離(貯留)の3通りについて、前者二つは2050-2075年に掛けて先行実用化していき、2075年以降3種類とも爆発的に適用が拡大するという想定をしています。
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二酸化炭素の回収と貯留に関するIPCC特別レポート

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第24回会合が水曜までモントリオールで開催されていました。
 今回の会合では、「二酸化炭素の回収と貯留に関する特別報告書 the Special Report on Carbon Dioxide Capture and Storage(SRCCS)」の政策決定者向け要約の文言を主要な議題として先週末いっぱいまで議論していました。

 ちなみに、日経サイエンス2005年10月号に、プリンストン大のソコロウ教授が書いた「CO2を埋葬する」というこの技術の紹介記事が載っています。要約部分を引用しておきます。
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CO2の回収・貯留技術
・石炭火力発電所から排出されるCO2を回収し、地中深くの地層に注入して長期的に貯留できれば、大気中のCO2濃度の上昇を大幅に緩和できるだろう。
・大規模なCO2回収・貯留計画を実現させるためには、低コストでCO2を回収して貯留する技術と、漏洩を防ぐために注入実験を積み重ねることが重要だ。
・CO2を回収する機会も、貯留に適した地点も、豊富にある。天然ガス精製や水素製造プラントからは低コストでCO2を回収でき、これを古い油田に送り込んで原油の回収手段として使えば、CO2に経済的な価値が生まれる。こうした試みによって技術が向上するとともに、CO2回収・貯留の実施にかかわる法整備も進展するだろう

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